2010/08/04

刹那の扉・・・






  
          その古ぼけた銀色の鍵を

          あなたが持っている限り

          この扉は閉まらないままなのよ



          夏の夕暮れの濃い翳が

          ずっと深くまで差し込んでくるわ

          鉛色の雨が漏れ伝って流れ込んでくるわ



          けれどもうその色さえぼやけて

          ただ笑いながら

          じっとりと冷たい壁に

          背をもたせかけて微睡むだけの私



          もう誰も開けにも来なければ

          閉めにも来ない忘れ去られた扉



          ああ あの時・・・

          あの時 開けてしまったあの扉が刹那の扉だっただなんて